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Ririko Yamaguchi
まんげつ
満月をながめていたら
道に迷ってしまった
二本足の狐が
くらがりからわたしを手招きする
ついていこうか
やめようか
かんがえているまに
足がかってに歩きだす
狐はずんずん前をゆく
足の裏がつめたい
靴がぬげたんだ
それどころじゃない
わたしは狐になっていた
ああ…そうだった
やっと思いだした
満月の晩に
きっとむかえにくるって
いつかあなたが云ったことを
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