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​かたまり

わたしの心のいらない皮を
いちまい、いちまい、
剥いでいったら

透明な
かたまりだけが残った

声はちいさく遠慮がちな
ぽつんとした かたまり
これが魂というものだろうか

きょうという日を たたむとき

わたしのからだは
くらやみのなかで
次第に輪郭を失い

わたしは
わたしであることを
わすれていく

自由になったかたまりは
おもいきりのびをして
深呼吸をひとつ、ふたつ

夜空に浮かぶ地図のなかに
目的地をさがしている

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