top of page
Ririko Yamaguchi
二番目に幸せな結末
道端に置きざりにされた
片方の手袋の
幸せな結末を考えている
たとえば それは
誰か優しき人の手によって
毛糸がほどかれ
小さな手袋に生まれかわること
たとえば それは
つがいであることをはじめから拒否して
ひとつの
完全なる鍋敷に生まれかわること
思いつく限りの
幸せな結末を考えてみるのだが
それは
一番幸せな結末を
葬ることになるのである
君が本当にそうしたいというのなら
雨にぬれても
靴にふまれても
そこで
待ち続けるがいい
君が
どこかでひとりぼっちになっている
もうひとりの片方と
再び会いたいと願うのなら
bottom of page