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Ririko Yamaguchi
ソナチネ
たどたどしいソナチネが
よく似合う住宅地で
道に迷っていたら
どこからか黒猫が降ってきて
わたしたちは、しばし みつめあう
数百年ぶりの再会だったかもしれない
数秒、、、
なにか大切なことを
語り合ったはずなのに
郵便バイクにかき消され
黒猫も、どこかへ去ってしまった
ごきげんよう
さようなら
ピアノの音は、また
おなじフレーズをくりかえしている
来世で会えたら
あの黒猫を
ソナチネと呼ぼうか
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